プロトン(1H)は13Cとは異なり、存在比が100%であるため、短時間の計測でも強いシグナルが得られる点に特徴があり、延伸過程における構造解析のように高い時間分解能が求められる測定に適しています。
この1H-NMR測定で得られる緩和時間にはいくつか種類がありますが、最も一般的なスピン-格子緩和時間(T1)が分子運動の速さに対して極小点を有するのに対して、スピン-スピン緩和時間(T2)は単調変化するため、T2によって一時的に分子運動性を評価することができます。
この計測手法によって、結晶相のみならず、中間相や非晶相の特徴を解析することができます。さらに、この計測手法を溶融延伸過程に適用することで、溶融延伸過程における分子鎖絡み合いの「解きほぐし」挙動を評価することに成功しています。