平成30年3月9日(金)に、群馬大学桐生キャンパスにて第33回群馬・栃木地区講演会を開催しました。多数のご参加をいただき、誠にありがとうございました。
はじめに、JXTGエネルギー㈱中央技術研究所・プリンシパルリサーチャーである田川一生博士から、「自動車用潤滑油に適用するポリマーとその摩擦特性」と題して、ご講演いただきました。潤滑油のトライボロジーに関して、豊富な経験とデータに裏打ちされた理論を解説していただくとともに、高分子材料が潤滑油の改質剤として有用であることが紹介していただきました。高分子材料のトライボロジーは非常に重要であるにも関わらず、その現象の解釈が難しいことから学術研究はあまり行われていないなかで、田川先生のご研究は摩擦摩耗現象における高分子鎖の振る舞いに迫る本質的なものでした。
2件目のご講演は、東工大・安藤慎治先生による「光・熱・電子機能性ポリマー開発のための新しい分光法とその応用」でした。安藤先生がこれまで一貫して取り組んでこられた機能性ポリイミド材料の開発とその構造・物性を精密解析する分光学的計測手法やそれに合わせた装置の開発など、合成から物性、解析にわたる広範囲なご研究を解説していただきました。合成および物性を専門とするどの参加者にとっても、非常に示唆に富んだご講演でした。先生のご研究により、これまでにない光・熱・電子物性を有する機能性ポリマーが創出されることが期待されています。